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屈折したトンネル


ある幹線のある長大トンネルに、半径4000mという大きくて意味深なS字カーブを描いたものがあります。半径4000mといえばほぼ直進に近いものですが、なぜ直線にしないでこのような微妙なS字カーブになったのでしょうか。

このトンネルの正体は東海道本線の丹那トンネル。熱海を出てから現れる長大トンネルで、御殿場周りだった旧東海道線の短縮と勾配緩和の目的で掘られた有名なトンネルです。その丹那トンネルは地図で見ればほぼ直線に掘られていますが、このトンネルがわずかにS字カーブを描いているというわけです。地図からは分かりませんが・・・

なぜ丹那トンネルは微妙なS字カーブとなっているか。いっそのこと直線にしてしまえばよかったのではないか。当然疑問となるところです。
ではなぜか。このトンネルが通過するところは箱根山のちかくで、貫いてる山も箱根山から続いているものです。熱海火山とか多賀火山とかいうそうですが、その名のとおり「火山」です。現在は活動休止ですが、火山といえばそう、温泉ですね。この近辺は熱海の存在で分かるとおり、湧水が多く起こるところなのです。
長大トンネルは掘削時によく湧水が起きたりするのですが、この丹那トンネルの場合はそれが特にひどく、トンネル全体から大量の湧水が起きたりもしていたようです。

さらに、丹那トンネルを難工事にした要因があります。それは地層です。
とくにトンネル近辺は丹那断層とよばれる活断層があり、トンネルがその活断層を貫いているため、難工事になったのです。

この断層のせいで大規模なトンネル崩壊事故も起きたりしているのですが、もっともひどかったのは1930年に起きた「北伊豆地震」です。この地震、なんとトンネル掘削工事が行われている最中のこの断層が震源地だったのです。
この地震では3名の犠牲者を出したほか、断層付近の地面が動いたためにトンネルが北へ2mほどずれてしまいました。このため、もともと直線で作る予定だった丹那トンネルは2mの誤差を埋めるべくゆるいS字カーブを描くようになったのです。

このトンネルの工期は16年。死者は67名、負傷者は600人以上もでました。予定工期が7年だったのが9年も延びたことから、このトンネルの工事がいかに難しかったかがわかります。工費も770万円から2600万円(当時)に膨れ上がりました。多くの犠牲のおかげで東海道線の速達化が達成されたわけです。

その後、東海道新幹線のために丹那トンネルのすぐ北側に「新丹那トンネル」が掘られました。工期5年。技術の進歩とともに、トンネル掘削の経験が大きく生かされたトンネルだということが出来ますね。


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一言コラム:丹那トンネル内はアップダウンがある

"旅始駅〜鉄道旅行のターミナル〜"was written by 209-0