日本の高速鉄道事情


日本の新幹線といえば、海外でも「SHINKANSEN」で通じるほどの高速列車となっています。しかし、現在ではヨーロッパ各国の後を追う形になってしまっています。

今回は日本の高速列車についてどんなものなのというのを話していきたいと思います。

 

日本が新幹線を開業させてから40年以上がたちました。

当時はその圧倒的な速度で世界は驚かされ、刺激されました。そして世界中で高速列車の計画が進行し、建設され、実用化されていきました。それでも1981年にフランスのTGVが270km/hで営業運転を始めるまで17年間もの間、新幹線(それも0系のみ)が世界一の速さを誇っていました。

が、先ほどにも出たように「TGV」が登場してからというもの、他の高速鉄道でも次々に高速化されていき、1993年にはとうとう300km/hの大台にのせました。

日本はというと、開業後は速度向上には興味を示さず、やっと高速化に踏み切ったのが1986年のこと。開業から実に22年がたっていました。
その後、国鉄が民営化されてからは堰を切ったように高速化がなされ、1997年にはTGVに4年ほど遅れながらも最高速度300km/hを実用化した500系を登場させました。

 

だからといって日本の新幹線が高速化に遅れをとった理由は、なにも技術が無かったからなのではありません。
どういうことかというと、つまり日本の新幹線は「安全性」を重視したわけです。

登場時の「新幹線」で注目されたのは速度性もありますが、その速度に見合った安全性もありました。
200km/hという高速度を出しながら、あんなに安定した走りが出来るというのは日本の技術の高さといえます。

さらに、開業後のメンテナンスや路盤強化、送電線のいわゆる「縁の下の力持ち」とされる技術の進化・改良なども怠ってはいませんでした。
0系ではほぼ2に1基あったパンタグラフが500系では1編成で2基になった事も、毎日何本もの重たい列車が高速で走るレールが破損も何も無い(自然災害によるものを除く)という事も、みんなこういった努力の成果なのです。

 

ヨーロッパの高速鉄道のひとつであるドイツの「ICE」は1998年に大事故を起こしました。
原因はいろいろあります。緊急時の非常ブレーキがついていなかったこと(当時は付いてなかった。今は知らない)や、貨物扱いもあることから貨物取扱い駅ではポイントが多く脱線しやすいこと、さらに車輪のリムとタイヤの間に振動対策のゴムを採用していたことです。

このゴムというのは、高速列車には不向きな上、温度上昇して変質することがあったのです。このことが実際に起きたのでこの事件がおきたわけです。
ちなみに日本とフランスでは使用していません。

一方、日本の新幹線では安全性を重視し、在来線・貨物とは隔離した別線を使用し、ブレーキは非常時も含めほぼ自動。さらにATCなどもあり、安全の確保には余念がありません。ほら、新幹線が新技術を発表するときには必ず安全性についての話が早い段階で出てきますし。

台湾が高速鉄道を導入するに当たり、当初は日本より価格が安めだった欧州が優勢だったのですが、最終的には日本式が採用されました。価格面より安全性が勝ったわけです。

 

新幹線開業後、日本が歩んできた22年間は、速度の向上よりも乗客の安全性を向上させるのに費やした年月だったのです。
そして民営化されてからスピードアップが盛んに行われるようになりましたが、それは国鉄時代からの”下地”があったからこそのものだと思います。

そして現代。JR東海がリニアモーターカーの実用化に向けて研究・試験を重ねています。また、JR東日本が東北新幹線の新青森延伸に向けて営業最高時速360km/hの実用化をめざすという発表をしたそうです。
これらが実用化されたとき、”鉄道先進国”日本の新幹線が再び高速鉄道の頂点に返り咲くことでしょう。


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"旅始駅〜鉄道旅行のターミナル〜"was written by 209-0