2005年12月ダイヤ改正の分析・見解

JR東日本

今回は2005年12月のダイヤ改正の内容を分析をしたり、意見などを書いていこうかと思います。
いくつかある改正の中でも、今回は東北新幹線の出来事について書いていきます。

(参考:JR東日本公式HPのPDF) 

今回のダイヤ改正の内容(JR東日本) ※色付きは今回取り上げる改正

新幹線

●盛岡発着「はやて」の登場

●東北・上越新幹線の東京駅の使用ホーム統一

●「つばさ」「こまち」の増発

●仙台での「はやて」と「やまびこ」の接続を開始

●ノンストップ「とき」を午前に変更し、「いなほ」と接続

●「あさま」を全車禁煙車化

在来線

●「NEX」を除く千葉特急全列車がE257系・255系使用へ(183系廃止)

●房総特急から「ビュー」の冠詞を廃止

●「NEX」と「スーパービュー踊り子」のグリーン個室料金を値下げ

●「かいじ123号」を新宿始発から東京始発へ変更

●一部の「スーパーあずさ」の松本〜白馬間を臨時へ格下げ

●武蔵野線から103系引退

●すべての千葉特急を全車禁煙車化

ただのウワサ・・・宇都宮・高崎線の211系にグリーン車を連結!? そして湘南新宿ラインに211系復活!?


「盛岡はやて」の登場について

 今回のダイヤ改正でまず私が注目するのは、盛岡行き「はやて」の設定です。この「盛岡はやて」についての概要は次のとおりです。

・朝夕に時間に2往復の設定(利用客の多い時間帯だそうです)
・盛岡発着
・仙台〜盛岡の一部の駅にも停車
http://www.jreast.co.jp/press/2005_1/20050915.pdfJR東日本のPDF

八戸には行かず仙台〜盛岡の一部の駅に停車する。これはまるで「やまびこ」のような感じで、「やまびこ」が全車指定席になり大宮〜仙台無停車になったような感じですね。

この設定により”朝夕の利用客の多い時間帯”は1時間に2本の「はやて」が走ることになります。

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ここで注目すべきは、今まで八戸行きで統一されていた「はやて」に”盛岡行き”が追加されたということです。

東北新幹線は行き先で愛称が決められているようですが、そのほかにも停車駅で違いがあるようです。

はやて」 行き先:八戸 最速達 (全車指定)
こまち」 行き先:秋田 最速達 (全車指定)

やまびこ」行き先:盛岡 主要駅停車 仙台〜盛岡は適当駅停車
やまびこ」行き先:仙台 主要駅停車
やまびこ」行き先:仙台 各駅停車

つばさ」 行き先:山形 主要駅停車
「なすの」 行き先:那須塩原 各駅停車  

大まかに言えばこういうルールで設定されているようですね。これに利用客の流動を考慮して多少の変化が加えられるわけです。

ひとつの路線にこれだけ多くの種別が走ることは珍しいことで、それゆえ乗客の混乱の解消が必要だと言われることもあります。ですが、新幹線が開通する前の在来幹線ではこれと同等の多くの特急が走っていたこともあるようです。(在来幹線のダイヤはよく知りませんが)

ただ東北新幹線には特殊なところがあります。それが3パターンある「やまびこ」です。
この3つの「やまびこ」はそれぞれ特徴があり、極端に言えば車両以外の共通点はありません。それでいて「やまびこ」が3パターンもあるのは、東北新幹線の沿線人口が少なく、季節・時間帯によって乗客流動が大きく変わってくるからです。
それゆえ、3パターンできるのはしょうがないことでもありますが、しかしながらこの3つの「やまびこ」は乗客にとっては混乱の種なのです。
ここで何が言いたいかといいますと、同じ愛称で複数の停車駅パターンがあるということは混乱につながるということです。

さて、そこで先ほどの「盛岡はやて」です。先ほど書いたとおり、同じ愛称で異なる停車パターンがあるということは混乱につながります。
現在の「はやて」は”八戸行き”という一貫した特徴がありますが、「盛岡はやて」の登場によってこの特徴が崩れることになり、統一性にかけることになります。

たった2往復とは言いますが、その2往復のために「はやて」が八戸行きかどうかわざわざ確認しなければならず、うっとおしい思いをしなければならないほか、もし八戸に行きたいのに間違えて「盛岡はやて」に乗ってしまったらどうなるでしょう。
盛岡で乗り換えれば問題は解決しますが、多少なり不快な気分になるのは避けられないでしょう。

以上のことから、盛岡発着「はやて」の登場は混乱材料が増えただけのように思われます。ですが、それならなぜ「盛岡はやて」が登場することになったのでしょうか。

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仙台など主要駅を利用するときは、路線の最速達列車である「はやて」を利用するのが一般的です。盛岡へ行くときもしかり。だから「はやて」は大変な人気があります。
ですが、増発した列車をいちいち八戸まで走らせたら、盛岡〜八戸は輸送力過剰になってしまいます。つまるところ、低コストに抑えるために盛岡で打ち切るというわけです。

それに、混乱するとはいってそれはあくまでもいわて沼宮内以遠に用がある人だけで、盛岡や仙台に行く人にとってはさほど問題ではなく、影響を受ける人は比較的少ないと思われます。

さらに、東京〜仙台以北の速達化を「やまびこ」以外の列車でできるというメリットもあります。これ以上「やまびこ」の停車パターンを増やすわけにはいかないので。

このことから盛岡発着「はやて」は、関東⇔仙台及び盛岡を利用するビジネス客をターゲットにした、かなりのメリットを生じる列車設定だということになるのです。

東北新幹線の愛称は行き先別ではなく、停車パターンで決まる流れになっているのでしょうかね。

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ところで、「盛岡はやて」の登場で「やまびこ81号」などの「はやて」と同等に停車駅を絞った「やまびこ」が消滅し、最速達タイプの自由席車が消滅しました。これはつまり、関東・仙台から盛岡を利用する乗客の多さを意味します。

一見、乗客が多いなら自由席が必要なように思われます。しかし、実は関東・仙台〜盛岡は10両編成では輸送力過剰なのです。そこをあえて過剰気味の10両編成で運行することにより、全車指定席にしても乗客をさばくことができるのです。

これによって「JR東日本は増収目的で全車指定席とした」という声もありますが、同社は「指定席はお客様がゆったり利用できる」との考えを公表していて、それを今回強めた感じです。たしかに自由席だと席取り合戦になることもありますからね。
それに増収といっても、指定料金はたかが510円ですしね。

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とうとう東北新幹線も本格的にビジネス客を視野に入れた改正をし始めましたね。


東北・上越新幹線 東京駅の使用ホーム統一

東京駅の東北・上越新幹線ホームは今まで方向別に21・22番線を上越・長野新幹線、22・23番線を東北・山形・秋田新幹線が使っていましたが、これを統一してしまおうということです。これまでも臨時列車はごちゃまぜに使っていたので、いっそのこと・・・ということでしょうか。

この変更のメリットは、繁忙期に存在していた上野発着の臨時列車(「はやて」「こまち」「つばさ」)を東京発着に出来ること、それと基本的にすべての列車が年間を通して同じ番線から発着できることになります。

このうち、後者の「基本的に全列車の発車番線の通年固定」は結構重要になると私は思います。
つまり、今までは時刻表に書いてあった番線どおりに列車が出発する、と思って駅に行ったら突然変更になっていて、乗客の混乱をまねく心配があったのですが、その心配がなくなったわけです。

これで時刻表だけに頼って旅行をすることも可能となります。東京駅に不慣れな人でも、駅へ行ってみて発車番線の突然の変更でパニック、という心配もなくなります。

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ただし、乗車番線のシンプル化についてはデメリットもあります。
乗車番線が方面別になっていたことで、特に閑散期の定期列車に乗る際は、例えば「はやて」の56分発というのを覚えておけば、時刻表を見なくても列車に乗ることが可能でした(ちょっと極端ですが)。

つまり、そういう列車に限っては今度の改正からは列車に乗るのにいちいち時刻表あるいは駅の電光掲示板を確認しなければならなくなったということです。ま、他が他なんで大した影響にはならないでしょうが。

主力列車「はやて」が全車指定席であることから「はやて」の指定席を取る際に時刻表を見るから大丈夫でしょ。と思うでしょうが、そういうときに限って発車番線なんて見ないでしょ?だから結局同じことなんです。

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それと、「繁忙期の臨時列車を東京発着にできる」ということ。これは臨時列車を利用しやすくなったということでしょうね。

「上野発着だったら、上野以北の乗客と、東京以南の乗客を区別できて、混雑をやわらげられる」という反論もできますが、東北新幹線は本数があまり増やせないので、乗客の均等化を図る目的でもこれはいいことだと思います。


湘南新宿ラインに211系3000番台復活?

これは根も葉もないデマですが、宇都宮・高崎線211系グリーン車編成が運行開始するという噂がどうやら本当らしいので、こちらも現実味を帯びてきます。

つまり、211系はグリーン車が連結されることによってE231系と対等の編成になり、湘南新宿ラインでもE231系と同じように運用をこなせるようになる、というのが世間の考えのようです。
実際、大宮駅の11番線は湘南新宿ラインの北行列車が専用で使っていますが、3ドア(211系)の乗車口が以前の名残でまだ残っていますので、そう予見することもたやすいです。

ところで、現在の湘南新宿ラインは東海道・高崎線直通と横須賀・宇都宮線直通で運用がきっちりと分かれていて、前者は国府津車、後者は小山車となっています。
211系が入るとすれば横須賀・宇都宮直通になると思いますが、これもちょっと微妙なところだと思います。理由は、宇都宮線を走る211系3000番台はすべて新前橋電車区に所属しているからです。

宇都宮・高崎線でのE231系と211系は共通運用になってるかどうかは知りませんが、時刻表のG車マークから察するに、2つの車両はきっちり運用が分かれてるみたいですね。
だとすれば、現状では211系が湘南新宿ラインに復活するとは考えにくいです。ただし、湘南新宿ラインにE231系が専用で使われることにダイヤ上の束縛が生じてるのだとすれば、運用の改善として211系が湘南新宿ライン運用に組まれることも十分に考えることができます。

04年10月の改正以前は宇都宮線直通の湘南新宿ラインにも211系がありましたので、やっぱり復活もあるかなぁ・・・。個人的にはE231系統一の方が良いんですけどね。東日本の211系はあまり好きじゃないし。

あ、でも横須賀線に211系が入ることってあるのかな?調べてみないと・・・。だれか知ってる人がいたら教えてくれませんか? 


東日本旅客鉄道(オフィシャルサイト)

2005年12月ダイヤ改正のJR東日本公式HPのPDF

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一言コラム:ダイヤ改正は楽しいな

"旅始駅〜鉄道旅行のターミナル〜"was written by 209-0