〜〜解説〜〜
■概要
それまで東北新幹線で活躍してきたのは200系でしたが、その200系の老朽化が目立ってきたため、新車投入による路線のイメージアップを図るために1997年に登場しました。
E2系は、今まで主役だった200系に代わり、新しく主役をはる目的で製造され、標準車両としての最高速度の向上、乗り心地の向上、騒音の軽減を実現させました。
JR東日本のフル規格新幹線車両としてはすでにE1系が登場していましたが、E1系はあくまでも通勤車両という位置づけが強く、それにオール2階建てではスピードアップも望めないため、このE2系がJR東日本の新しい標準車両として増備されることになりました。
長野新幹線の新規開業が目前だったため、0番台は長野新幹線に対応した機器を搭載し、東北新幹線向けに製造されたJ編成(通称E2'系)も長野新幹線で走ることもありました。
2002年の東北新幹線八戸延伸の際には新たに1000番台が製造されました。1000番台は東北新幹線専用とし、新規開業区間に対応する代わりに長野新幹線対応の機器は省略されました。
そして、東北新幹線向けだった0番台J編成も1000番台と混合で使用されることになり、東北新幹線向け編成と長野新幹線向け編成は分離されることになりました。
こうしてJR東日本の標準車両として登場したE2系は、最速達列車「はやて」を中心に、東北新幹線や長野新幹線で広く使用されています。
■外装・内装
・長野新幹線向け編成
客室はグレー主体の壁と間接照明を使い、ビジネス客向けのクールで落ち着いた感じがします。 シートは青、緑、紫の3色のシートをランダムに設置した色使いでカジュアルさを演出しています。
窓割りは1列に1つ設置、塗装やロゴは写真を見たとおりで、帯が赤なのがポイント。 以前はE2系すべてがこの塗装でしたが、東北新幹線八戸延伸以降は長野向け編成のみがこの塗装となりました。
・東北新幹線向け編成
客室はブラウンの壁と直接照明により、同じ「落ち着いた感じ」でも、長野向けとは相対的に明るく和やかな雰囲気があります。 シートは緑または青系の色で車両ごとに統一され、緑のシートの車両と青のシートの車両が交互に連結されています。
窓割りは大型窓を採用し、2列に1つ配置しています。大型窓の中央にはカーテンのサッシがついています。 塗装やロゴは当初長野向けと統一でしたが、東北向けと長野向けの運用分離に伴い、独自の塗装やロゴが施されました。 東北向けは帯が東北地方をイメージしたつつじ色になっているほか、ロゴは青森のりんごをイメージしたものとなりました。
なお、0番台の車両は塗装やロゴだけが東北向けのもので、内装は長野向けの編成と同じものになっています。
■車両と運用
JR東日本の次世代標準車両として登場したE2系は、騒音問題やスピードアップといった課題に対する工夫が施されています。 たとえば、先頭の形状が不思議な形になっていたりするのもその工夫のひとつです。そのほかにも、車体の凹凸を少なくするなどの工夫もされています。
・0番台
0番台は登場当初から活躍している車両です。
0番台の大きな特徴は、30‰という新幹線でも最大級の勾配で200km/h以上で走行できたり、途中で50Hzと60Hzの2つの周波数に分かれている交流電流でも安定して走行できる機器を搭載しているなど、路線状況が過酷な長野新幹線でも走行できるようになっています。
ところで、0番台には2種類あります。ひとつは現在「あさま」専用として活躍している編成で、N編成といいます。 N編成は、自動連結器を装備していない(単独運転のみ)のと、最高速度が260km/hまでとなっているのが特徴です。 なお、長野新幹線のすべての定期列車はN編成で運行されています。
そして、0番台のもうひとつの編成は、東北新幹線で1000番台と共に活躍しているJ編成です。 J編成は主に東北新幹線に使用され、分割併合設備が下り方先頭車に装備され、最高速度も現在JR東日本営業最速の275km/hを出すことが可能です。
J編成は1000番台登場までは通称E2'系といわれていましたが、1000番台新造の際にこちらも10両編成化され、1000番台と混合使用されるようになりました。 また、それまではJ編成も長野新幹線へ乗り入れることもありましたが、基本的に廃止になりました。
ただし、0番台J編成にはお召し仕様の編成が3編成ほどあり、長野新幹線でお召し列車が運転される場合はそれらの編成で運転されます。ちなみにそれらの編成のグリーン車は防弾ガラス&厚い床板が施されています。
・1000番台
1000番台は2002年(試作車は2001年)の東北新幹線八戸延伸の際に登場しました。10両編成で運転され、主に「はやて」「やまびこ」に使用されるほか、「なすの」にも使用されます。
1000番台の編成はJ編成のみが存在します。見た目や走行上の性能は0番台のJ編成とほぼ同じですが、1000番台のみの特徴として、乗り心地改善のための「フルアクティブサスペンション」が両先頭車とグリーン車に搭載されたほか、パンタグラフがシングルアーム化され、0番台にあったパンタグラフカバーが取り外されています。
また、1000番台は東北新幹線専用とするため、長野新幹線対応機器は大方はずされています。0番台J編成との性能上の相違点はそこにあります。
余談ではありますが、E2系の自動連結器はE3系に対応したものであり、400系・E1系・E3系とは連結救援はできますが併合運転は出来ないとの事です。
■コメント
JR東日本の新しいエース、それがこのE2系です。
一般的には長野新幹線開業の際に登場したというイメージが強いですが、実際はその約半年前に秋田新幹線とともに東北新幹線でデビューしています。
その後も東北新幹線八戸延伸の際に登場した最速達列車「はやて」全車両にE2系が使用されるなど、今では完全にJR東日本の主役といえるでしょう。
ちなみに八戸延伸に関しては、2001年の試作時は8両編成の予定だったのが、新登場の「はやて」が全車指定席で運行されることが決まり、定員確保のため10両化されることになったという経緯があります。
現在は長野新幹線や東北新幹線のみで活躍する0番台ですが、かつて上越新幹線「あさひ」で使われていたこともありました。 なぜE2系が上越新幹線高崎以北から撤退したかというと、まず車両運用が複雑になるからなのと、もともと上越新幹線は210km/hまでしか出せない場合が多く、E2系では性能をもてあましていたという事情があったようです。
しかし、なかなか良く出来た車両だとは思いません? |