最初に断っておきますが、この話は私の考えであり、なんらかの資料などを参考にしたものではありません。ゆえにどこかに納得がいかないところあるかもしれませんが、ご了承ください。
さて東京というところですが、一見すると路線が整っているように見えても、実際は目的地に着くのに思った以上に時間がかかったり、思った以上に疲れたりすることがあると思います。特に東京都内をまたいで移動するとなるとその傾向は強くなると思います。
しかし、東京以外の他の地域で同じように移動すると、東京ほど苦労しないことが多いです。
なぜ東京は他と比べて不便になるのでしょう。それは、必要な乗換えの回数にあります。
ほかの地域は、主要都市相互間の移動では大体乗り換えなしか、あっても1回程度の乗換えでさまざまなところへ行くことが出来ます。ところが、東京圏の場合はほとんどの場合で1回や2回の乗換えが必要になります。
では東京圏とそれ以外の地域では何が違うのでしょうか。まずは似たような環状線を有する大阪圏と東京圏の違いを見てみましょう。
大阪圏(JR)
宝塚方面
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兵庫方面ーー尼崎ー大阪ーー新大阪ーー京都方面
\ /\ ・天神橋筋六丁目
___×
\___
/ \
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| ヽーーーーー京橋ーーー片町方面
| 淀屋橋・ |
\汐見橋・ 難波
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\ |・絵美須町 /
ヽー新今宮ーー天王寺ーーー奈良方面
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和歌山方面
東京圏(JR)
大宮方面
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武蔵浦和ー南浦和___
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\ | \
/ 赤羽
\ 水戸方面
/ /
\_ \ /
/ /
| \ 新松戸
| 池袋____田端 尾久
/ \
| /
\/ / \
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| / \
| | 上野 \ ーーー西国分寺ーー新宿 |
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高尾方面 | トーー御茶ノ水ーー秋葉原
ー錦糸町ーー西船橋ーー千葉方面
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| ヽ東京/
/\
渋谷
| ヽーーー市川塩浜ー南船橋ーーー蘇我方面
\ 泉岳寺・ |
大崎____品川
|_____/
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横浜方面 |
横浜方面
※図が崩れてたら報告ください。
図には私鉄が書かれていませんが、大阪圏は私鉄のターミナルを書き入れました。東京圏の私鉄のターミナルはたいてい山手線の駅かその周辺となっていますのである程度参考になると思います。
さて、この大阪圏と東京圏の違いはなんでしょうか。図だけじゃよく分かりませんが、運転系統に違いがあります。
図を見ると、両方とも環状線に向かって路線が延びていて、環状線と接続する線が多いです。とくに東京圏ではほぼすべての路線が山手線上にターミナルを設けています。
しかし、大阪圏は環状線電車に乗り換えなくても中心地へいける工夫がされています。つまりJRでは環状線に向かってくる路線の列車が環状線などへ乗り入れて大阪やJR難波等へ直接乗り入れることが多いのです(阪和線は普通のすべてと快速の多くが天王寺止まり)。片町線や宝塚線については、環状線には乗り入れないで、東西線に乗り入れて中心地を経由しています。私鉄についても、環状線と接続はするものの中心地へは独自のターミナルを設けています。そもそも環状線と接続しない路線もあり、環状線に頼らない路線が多いようです。
一方、東京圏はまず山手線ありきで、山手線にターミナルを設けることによって都心到達としている路線がほとんどです。そのため、東京都内をまたいで移動する場合は一度山手線(または併走する路線)に乗り換えなければならない場合が非常に多いのです。
大阪圏のように中心地へ直通できる列車が多いことは、目的地へ行くまでの乗り換え回数を少なく出来るほか、環状線や環状線に接続する駅の混雑を和らげることが出来ます。
事実、東京圏では人の流れが山手線に集中し、山手線や併走する各路線が非常に混雑しているほか、山手線のターミナル駅が非常に混雑し、防災上でも危険な状態になっています。大阪圏でも同じように人が集まる大阪や難波でも混雑はしますが、大阪(梅田)や難波では私鉄のターミナルがJRとは離れた場所にあるために東京圏ほど集中した混雑ではないようです。
それなら、東京圏の私鉄はなぜ山手線の中に独自のターミナルを設けないのでしょうか。いや、設けないのではなく、国の政策によって設けられなかったのです。だから山手線の駅がターミナルになることが多かったのです。
そういうこともあり、東京圏の私鉄では中心地乗り入れの策として地下鉄に乗り入れることを多くの会社線がするようになりました。大阪圏の私鉄にも地下鉄に乗り入れる路線がありますが、東京ほど多いわけではないようです。
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そして、東京圏と大阪圏を含むほかの地域での決定的な違いは、東京という街の特質にありました。
東京は江戸時代から日本の中心として存在し、各地から街道が集まってくるところでした。明治時代になり、鉄道主流の時代になってもその傾向は変わらず、各地から路線が集まってくるところとなりました。つまり、東京には起点・終点が他と比較にならないほど存在するのです。
日本の主要都市では、路線は基本的に”通過”します。この場合の通過とは、駅を通り過ぎることではなく、路線が都市を貫くという意味をさします。
外国では、都市ごとに起点・終点を設けることが多くありますが、日本では通過式が多く、路線の起点・終点は東京やその他の大都市か、国土の端になることが多いです。
東京に起点が集まること、その他の都市では通過式が多いことの2つを以て考えると、東京が他の都市に比べて不便な理由が出てきます。それが冒頭そして大阪圏との比較の時にも出てきた、乗り換え回数の違いということになります。
つまり、通過式の駅では路線が集中するような中心駅は大抵ひとつしかなく、その地方で移動したいときは中心駅へ行けば乗りたい路線に乗れることが多いです。それに、本線系統の路線なら中心地をまたぐ移動は乗り換えなしで済むときもあります(ただし中心駅で折り返すところも多い)。これは大阪圏でも当てはまります。JR京都線・神戸線なんかがそうだと思います。
ところが東京圏では先述したとおり山手線を介さないと乗り換えらない路線が多いので、他の地方より不便になるわけです。ま、東京でも京浜東北線や中央総武緩行線なんかは直通していますが、都市間移動の目的で使用する人はかなり少ないでしょう。
東京圏でも近頃は「湘南新宿ライン」のような直通列車が運転され始めてますし、東京圏の私鉄では地下鉄を介して他の私鉄と直通しているものもあります。例えば京成・京急は都営地下鉄浅草線を介して「エアポート快特」という列車を成田空港〜羽田空港を結んでいて、地下鉄内でも駅を通過して速達運転をしています。
ところで、東京圏のようなタイプの構造では、実は防災上危険なところもあります。ひとつのところに多くの人が集まると危ないということです。こういうこともあり、東京圏では相互直通運転を推進し積極的に導入する傾向にあるのです。直通運転をすれば駅に降りなくて済む人が減るということです。
そういうことから、東京圏ではこれからも相互直通運転をする路線が増えることがあるかもしれません。
・・・不便な理由というより他の地域との比較になってしまいましたね。
一言コラム:迂回線新設でも駅の混雑は避けられる |
"旅始駅〜鉄道旅行のターミナル〜"was written by 209-0