■その3 寝台を活用する
ここまで時間や設備のことを書いてきましたが、一方でB寝台など従来からの寝台も変化がなければいけないでしょう。
その1の後半で述べたような寝台電車が普及すれば従来の客車はかなり減ると思われますが、比較的近距離の列車ならば電車にしなくても客車で済みますので、その客車の話と、これからもでてくるであろう寝台電車の編成について書きたいと思います。
従来の寝台列車の基本は開放B寝台でした。しかし現在はプライバシー保護が優先される時代です。そんな現代において開放B寝台は敬遠されることでしょう。もしかしたら寝台列車衰退の原因かもしれませんし。
それが強く現れているのが特急における開放A寝台の全滅でしょう。A寝台は昼行特急で言うところのグリーン車ですから、お金をかけているのに開放式とくればむしろ誰も乗らなくなるでしょう。
そもそも、なぜ開放式寝台がいけないのでしょうか。また、なぜ開放式寝台という方式があるのでしょうか。
開放式寝台に乗っていて、 「寝ている間に犯罪にあうかも」などといった不安に駆られたことはないでしょうか。開放式だとその名の通り”開放”しているわけですから、個室に比べて犯罪に遭いやすいわけです。だから、それがいやで個室を利用する人や、寝台列車そのものを利用しなくなる人もいておかしくないわけです。
しかし、開放式にすれば定員が稼げるし、個室に比べるとコストが安上がりです。今はなき3段式というのも定員確保のためのものでしょう。
しかし寝台利用が減っていくと、そのうち居住性が注目されるようになりました。定員は稼げても居住性が悪かった3段寝台が、3段よりはスペースが広く取れる2段寝台になっていったのがそれを証明しています。
さらに個室利用が広まっていくと、個室に人が集まり開放式は閑散・・・という事態になり、さらにその個室利用も少なくなっているというのが現状でしょう。
もちろんこれぐらいのことはJR各社も予想できたでしょう。個室設備を増やし、もっと充実させたかったに違いありません。しかし世の中そう簡単には行かないものです。
現在主力で使われている24系客車が最初に作られたのが1973年。客車の寿命はよくわかりませんがだいたい30年ぐらいだとすると、最初に作られたタイプがかろうじて寿命にきている状態です。
寿命がきていない車両を廃車にすることは出来ませんし、改造するにも結構金がかかります。Bソロへ改造するにも、一度車内をすべて作り変える必要がありそうですし。
ただ、開放B寝台だけではどうしても客足は減っていくので、そこは多少金がかかっても改造するべきでしょう。
簡易改造という手もあります。例えば、開放B寝台の1ユニットごとに扉をつけるだけで4人個室になりますし(ただ、4人個室は家族やグループ向けにとどまるので多くは作れませんが)、うまく壁をぶち抜いたり作ったりすれば、開放B寝台を個室にすることもできるでしょう(むずかしいですが)。
★★★★★★★★★★
さらに、B寝台料金の値下げもできる限り行うべきでしょう。現在ではB寝台で6300円ですが、6300円もあればテレビ、ユニットバス、さらには朝食無料サービスも付いた立派なビジネスホテルに泊まることが出来ます。
B寝台でも個室ならそれなりにサービスもありますが、開放B寝台はまさに「寝るだけ」です。
確かに移動しながら寝れる・寝ながら移動できるというのはこの上ないサービスですが、運賃と特急料金(指定席券-510円)はちゃんと払ってるわけですから、B寝台料金はもっと安くするべきでしょう。せめて開放式は・・・
”ゴロンとシート”の普及も行ったほうがいいでしょう。あまり長距離になれば割に合わなくなるかもしれませんが、できる限り連結すべきでしょう。そして増結すれば便利になり、列車の利用客が増えれば、その列車を廃止することは出来なくなるということです。
★★★★★★★★★★
先述したとおり、B寝台の客離れの原因は「犯罪の可能性」にあるわけですが、防犯対策に何をすればいいのでしょうか。
1.ユニットごとに簡易扉をつける
・・・これは犯罪者が寝台そのものに侵入することを防ぐ手ですが、トイレに行きたい乗客や、寝付けない乗客などが頻繁に通路に出ると扉の開閉音が気になる人もいるので、自由な行き来が出来なくなります。
2.カーテンを防犯性の強いものにする
・・・つまり寝台ごとに扉をつけるというものです。現在ではカーテンが寝台を仕切っていますが、これを扉にするというものです。しかし、上記と同じ理由で行き来が出来なくなります。そこまですれば立派な個室か・・・
まぁ犯罪者を寝台に近づけないということならばカーテンでも十分だと思いますし、女性の方には「レディースゴロンとシート」なる女性専用車も用意されているので、あとは盗難防止ですね。
3.ロッカールームを設ける
・・・ロッカールームを設ければ盗難防止が出来ますが、一時的にも貴重品が手元から離れるということもあるので心配になる人もいるでしょう。
ロッカールームを作るスペースは、一般的に一番端に位置する半ユニットをつぶしてロッカールームにすればいいでしょう。どうせ乗客減なんだし・・・
4.各寝台に金庫を設置する
乗客にとっては一番安心できる方法かもしれません。しかし、その金庫を設置するスペースがありません。小箱程度の金庫でいいなら寝台の天板に設置するのもいいでしょう。通路上の荷物置きに扉を設けてもいいですが、下段の乗客が利用できなくなるというデメリットがあります。
他にも、トイレの扉を開けやすくするとか、洗面所など車内全体の雰囲気を改めるとか、各寝台にコンセントを設ける(防火なんたらに引っかかるかも?)などの細かい工夫をする必要があるでしょう。
これからの時代は絶対に個室主体になるはずなので、その辺の対策をしていかなければ、ブルートレインは瞬く間に廃止に追い込まれてしまうかもしれません。
気が付けば「そして何もいなくなった」なんてことのないようにしなければなりませんね。
次は、各寝台列車を方面別に分析してみます。
一言コラム:指定席券だけで乗れる長距離列車はかなり便利だ |
"旅始駅〜鉄道旅行のターミナル〜"was written by 209-0