ちかごろ寝台列車といえば”廃止”の2文字がついて回るという悲しい時代になってしまいましたが、その原因はなんでしょう?新幹線や飛行機など、交通機関の高速化?それとも値段が安い夜行バスの台頭?原因はさまざまなところにあると思います。
しかし多くの人が知っている通り、寝台列車というものの重要さ、便利さ、快適さは計り知れないものがあると思います。そこで今回はその寝台特急の”再生”を考えてみたいと思います。
■その1 寝台列車の速達化を考える
寝台列車の不利な点を考えると1番最初に思い浮かぶのが「時間」だと思います。
夜行利用で1番ネックなのは到達時間・・・ではなく、出発・到着の時間なのです。
夜行列車の場合、夜通しで走るので到達時間を詰め過ぎると逆に不便になります。そこで、夜行列車を便利にするには出発・到着の時間をいかに利用者のニーズに合わせるか、ということになります。
現代においては、客の多くが寝台列車に乗る目的は「寝ながらゆったり行きたい」から「夜間でも移動できる手段」に変わってきています。
つまり、中長距離の移動となれば飛行機や新幹線を使うのが常識ですが、どんなに速くても長距離になれば移動時間が4・5時間はかかってしまいます。
これでは出発が夜遅くになってしまった場合、その日のうちに現地について宿で一泊することも出来ませんし、また翌日どんなに早く出ても、現地に早い時間に着くのは不可能です。その「空白の時間」を埋めるのが寝台列車なのです。
東京〜大阪を結んでいる寝台急行「銀河」は、併走する新幹線の最終列車が出てしまった後に始発駅を出発し、新幹線の始発列車が出る前に終点に到着するという特徴があります。
これによってどんなメリットがあるのかといえば、つまり新幹線が出てしまった後でも目的地に行きたいという客にも対応できるということです。
長距離移動の主な客はビジネス客ですので、一刻も早く目的地に着きたいという事情があります。ですから、こういった列車があると重宝するわけです。
ただし、この方法は到達時間が短い場合に限ります。「銀河」の場合、東京〜大阪という比較的長くない距離を結んでいるので到達時間が短く、ダイヤを工夫しやすいのですが、東京〜九州などの長距離列車となると、主要時間が長くなるのでなかなかそうは行かなくなります。
そうなると、やはり長距離列車は主要時間の短縮が課題になってきます。
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現在、寝台列車のほとんどが客車で運行されています。それは振動や音などの居住性を重視したためですが、一方で主要時間が稼げないというデメリットもあります。
そこで現在注目されているのが電車です。昼行列車ではもはや常識となりつつありますが、寝台列車ではあまり例がありません。
その中でも数少ない例となっているのが「サンライズ出雲・瀬戸」です。
この列車に使用されている車両は285系という夜行専用電車ですが、その性能は昼行特急車両と遜色ありません。居住性に関しても、確認はしていませんが劣るものではないはずです。
では、客車と電車では性能面でどのくらい差があるのでしょうか?走行路線や停車駅が同じである客車列車「富士・はやぶさ」と電車列車「サンライズ出雲・瀬戸」の岡山→静岡の到達時間で比較してみましょう。(岡山〜静岡 552.7km)
・「富士・はやぶさ」 岡山発 0:48→静岡着 7:28 主要時間6:40 途中停車駅:名古屋 浜松
・「サンライズ出雲・瀬戸」 岡山発22:32→静岡着 4:38 主要時間6:06 途中停車駅:姫路 三ノ宮 大阪
両列車の主要時間の差は34分となりました。一見してみれば先行列車が無く停車駅も少ないという、有利な面が多い「富士・はやぶさ」ですが、実際は「サンライズ出雲・瀬戸」のほうが30分以上も早いのです。
やはり客車と電車というのは結構差が出るものなのです。
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その「サンライズ出雲・瀬戸」ですが、こちらもやはり「銀河」と同様に、その日のうちに着けなくなった時間帯に始発駅を出発・到着しています。
やはりこのことは重要なことではあるのですが、東京〜九州の列車となると難しいものです。
たとえば、サンライズシリーズの中でも主に多客期に運行される寝台特急「サンライズゆめ」が東京〜広島・下関にありますが、下関発(上り)は15:45と遅いにもかかわらず東京着が6:27となっています※05年4月30日・5月3日・6日運転予定。
到着時間としては申し分ないですが、出発時間が問題です。これでは飛行機や新幹線を使えば、無理なく当日中に着いてしまいます。
そうなると寝台列車に乗るメリットが無くなり、利用客は少なくなってしまいます。
そこで次の戦術です。
一言コラム:寝台列車の値段は乗車券+特急料金(-510)+ホテル代といった感じ |
"旅始駅〜鉄道旅行のターミナル〜"was written by 209-0