よみがえれ、寝台列車! その2


■その2 車内設備を考える

速さではどうしてもうまくいかないこともあります。それをカバーするのが車内設備です。以前からある24系や14系などの客車寝台車は、どうしても設備が古くなってしまったものや、時代に合わない設備や編成が残っているのも事実です。そこで、今回はその打開策を考えてみます。

私は、この打開策が大きく分けて2種類あると思っています。

リゾート仕様・豪華仕様

そのひとつは、「乗ること自体が目的の1つ」という、リゾート編成です。

その象徴的な列車が、上野〜札幌を走る「カシオペア」です。この列車はなんと、個室A寝台しかないという超豪華な列車です。
こんな列車は国鉄時代には考えられなかったことです。

そのはしりは「トワイライトエクスプレス」や「北斗星」と言われています。両列車とも青函トンネルが開通してから走り出した列車で、大阪東京から札幌までを結んでいます。

これらの列車の特徴は個室が多いことです。最近では開放式より個室式のほうが乗客に好まれているようです。しかしそれだけで「カシオペア」ほどの人気が出るとは思えません。

では何が起こっているのでしょうか。つまり、大阪・東京と札幌というのは距離がかなり離れています。このぐらいの長距離だと航空機が絶対的に有利です(事実、羽田〜新千歳間の航空機の乗降者数は世界一だとか)。だからビジネス客などは航空機に流れていきます。

しかし、北海道というところは国内からの旅行地として有名で、多くの人が北海道に向けて旅立ちます。旅行者にしてみれば、めったにしない旅行ですから、お金をかけて豪華な旅行がしたいと思う人が多いようです。

そこでこの高級志向の設備です。寝台の魅力は前ページの冒頭で述べたとおりですが、まさにその魅力が大きく活かせてるというわけです。

座席車の連結

1990年、関西〜長崎を結ぶ寝台特急「あかつき」に、レガートシートという指定座席車両が連結されました。

座席車の連結は以前からありましたが、それらは豪華な座席であるグリーン車ばかりでした。しかし、レガートシートは指定席、つまり普通の座席でした。

この背景には、夜行バスや夜行快速列車の台頭があります。それらの交通機関はどれも座席しか利用できなのですが、それだけ価格が安なり、”時間や体力はあるけど金が無い”という若者などに人気があります。

そんな背景もあり、近頃は座席車を連結した寝台特急列車が増えています。もともと寝台特急は長距離の列車が多いので、結構利用しやすいと思います。

さらに、”寝台列車らしい指定席”というのがあります。それは「ゴロンとシート」や「ノビノビ座席」といった、横になって移動できる商品のことです。

このタイプにはさまざまな形式があります。
例えば、主にJR東日本の寝台特急に連結されている「ゴロンとシート」は、開放式B寝台をシーツ・枕・布団などの寝具もなにも置かないで素で使用する代わりに料金は指定席料金で抑えるというサービスです。

この「ゴロンとシート」は、以前は常磐線経由で上野〜青森を結んでいた「ゆうづる」や、同じ上野〜青森でも東北本線経由で走っていた「はくつる」にも連結されていましたが、それらの寝台列車も廃止されていき、現在は上野〜青森を羽越線経由で結んでいる寝台特急「あけぼの」のみの連結となりました。

一方、「ノビノビ座席」とは、285系「サンライズエクスプレス」に連結されているものです。内容は「ゴロンとシート」とほぼ同じですが、こちらは専用の車両・レイアウトが用意されています。もちろん指定席料金で利用可能です。

これらのサービスもやはり若者に人気があります。

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これらのサービスは、さまざまな交通機関が発展してきた現代において、B寝台だけでは客のニーズに対応できなくなったJR各社が考え出したものです。

これからは、いままでの設備だけではなく、新しいサービスをどんどん取り入れていかなくてはすぐに”廃止”してしまうことになってしまうでしょう。

次はB寝台設備について書いていきます。


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一言コラム:「ゴロンとシート」を使うときは、必要な寝具を持参するべき

"旅始駅〜鉄道旅行のターミナル〜"was written by 209-0